文化祭の天文の企画から学ぶ、「未知」の魅力を伝えることの難しさと楽しさ

突然ですが、天文てんもんと聞くとどういったイメージを思い浮かべるでしょうか?
夜空、星座、惑星、太陽系、天体観測…。それこそ宇宙にまつわるワードや情景がいくつも連想されるはずです。

今回はそのような壮大で神秘的な、いわゆる「未知」の雰囲気が感じられる天文の魅力について簡単に紹介するとともに、その未知にふれることの奥深さについても書いていきたいと思います。

最も身近で最も遠い?天文の不思議な魅力

文化祭における天文


天文、もしくは天体や地学など表記には多少ぶれがありますが、読んで字のごとく天(空や宇宙)の観察や研究をする文化のことです。

文化祭でも天文の企画はしばしばお目にかかりますが、中でも星座や星々の観察を擬似的に体感できるプラネタリウムは、天文における代表的な存在といえます。世間的にも「文化祭=プラネタリウム」といった印象は強いかもしれません。

天文はしいて言えば自然科学系に分類される文化(分野)になりますが、実際はそれほどお堅い印象はなく、思いのほかラフな雰囲気だったりします。

もちろんプラネタリウム以外にも、星や夜空などが撮影された写真がいくつも展示されたり、天体や太陽系の模型が飾られていたりなど、ムード作りに長けた出し物が多く見受けられます。
天文はそれこそ「宇宙」がテーマの根底にあるくらいですから、出し物やアイデアの形は無限大なのでしょう。

天文の味わい

天文は何と言っても壮大で奥が深く、そしてイメージ通りに神秘的(ミステリアス)な雰囲気を放っていることもあり、いつの時代でも変わらぬ魅力があります。

2019年の4月には、天文の国際研究チームが世界で初めてブラックホールの撮影に成功しましたが、そこから初めて天文に興味を示した人ももしかしたらいるのではないでしょうか?
筆者にとってもあれは印象深いニュースであったため、文字通りズズッ……と引き込まれた記憶があります(笑)。

他にも、2010年には小惑星探査機の「はやぶさ」が地球に帰還したニュースで一躍有名になったり、さらには不定期で大きな満月が見られたりする「スーパームーン」現象なども聞き覚えがある人もいるかもしれません。
こうした新発見やニュースが流れるたびに、一般的にも広く盛り上がりを見せる文化は天文以外にはなかなかお目にかかれないような気がします。

天文にまつわる素朴な疑問

再び質問になりますが、あなたは天文ならびに宇宙についてどれだけご存知でしょうか?また、その魅力を誰かに伝えるとしたら、どのように伝えたらいいと思いますか?

何だか質問攻めみたいになってしまいましたが、この回答に対して明確に答えられる人はおそらくそれほど多くはないと思われます。じつを言うと筆者も、いざそのように問われると結構返答が難しいかもしれません。

天文はいくつもの星や小惑星など、調べる研究対象の種類やスケールが膨大かつ抽象的であるために、どこからどう話せばいいのか困るという悩みに陥りがちです。これは見方によってはある意味ぜいたくな悩みでもあるのですが(笑)。


ですが、これはよくよく考えると無理もないのだろうと思います。何せ天文はまだまだ謎が多く、それこそ「未知や不可思議をそのまま絵に描いたような文化」だからです。

そもそも天文に限らず、未知なものにふれるうえで戸惑いが生じるのはごく自然なことです。むしろ未知なものを目の前にして、謎や疑問を全く抱かないことの方がめずらしいのではないでしょうか。

たまに、計り知れないような数値や物事をたとえるときに「天文学的な~」といった表現が使われることがありますが、まさにそれにならうように「すごいのは理解できても、そのすごさがどれほどのものであるのかがわからない(イメージをするのが難しい)」のが天文であり、未知の魅力なのだと筆者は考えています。

未知とされるものの魅力を伝えるには

テーマ自体は壮大で夢にあふれている天文。ですが、未知なイメージが強いために一般的になかなか浸透されないというのは、はたから見ているとどこか勿体なさやもどかしさを感じてしまうのもまた事実です。
以下では、そうした「未知ならではの魅力」の効果的な伝え方について述べていきます。

親近感(共感)を大事にする


どんなことにも言えると思いますが、見知らぬ人に何かを伝えるためには、とにもかくにもまずは身近な興味や関心といった、いわゆる親近感(共感)を抱いてもらわないことには伝わるものもなかなか伝わらないものです。

文化祭での天文を例にとると、天文はあらゆる企画の中でも出し物のバリエーションが一際多い印象があります。
前述にもあった星座や夜空の写真、自作した天体模型の展示やプラネタリウムなどもそうですが、じつにあの手この手で天文への興味を抱いてもらうための工夫が凝らされているのがわかります。

華道における「花」や美術における「絵画」といったように、天文にはその文化を一目でイメージできる実物(本物)があまり見られないないため、その影響も強いのでしょう。
仮に宇宙に気軽に行けたとしても、勝手に隕石のかけらを持ち帰ったりするわけにもいきませんからね…(笑)。

特に、天文のシンボルでもある「天体望遠鏡」が飾られているところだと人目を引きつけやすくなるため、天文らしさをアピールするうえでは不可欠なアイテムとも言えます。望遠鏡なくして天文にあらずといったところでしょうか?
そしてもともと自然科学系の文化ということもあって、模造紙などを利用した研究発表にも力が入っていることが多く、大人でもそれなりに楽しめる点も天文ならではです!

やはり百聞は一見にしかずで、口頭だけで事細かに説明する(される)よりかは、具体的な媒体や展示物を通した方が、イメージや内容がスッと伝わりやすい(受け入れやすい)利点があるのだと思います。少しでも使えるものがあれば、なるべく妥協せずに最大限に活用した方がいいのでしょうね。

強いイメージや印象(インパクト)を植え付ける


直前で述べたこととほぼセットになりますが、何かを伝えるにあたって最も重要なことは、その相手に対して強いイメージや感動といった、いわゆる鮮烈なインパクトを与えることです!

よく子どもが映画や本などを見たあとに「楽しかった」「面白かった」といった率直な感想を述べる光景がありますが、それこそがまさにインパクトになります。つまり、何らかのプラスな感情をたった一つでも与えられれば、たとえ未知なものであってもそれなりに脳裏に焼き付くということです。

天文でたとえると、プラネタリウムを体験することで大半の人は「きれい」「壮大」「神秘的」といったイメージが自ずと浮かんでくると思います。これにより、天文に関する詳しい知識はなくとも「天文はきらびやかで、スケールが大きい文化」であるというインパクトは多少なりとも残りますよね。

そうした部分への共感や感受性が強い人であればあるほど、そのまま天文に興味を深く示してくれる可能性も高くなるように思います。たかがイメージ、されどイメージ……それを後押ししてくれるのは、直情的な感情ならびにインパクトであるはずです。

もしも天文の魅力を誰かに伝えたいときは、宇宙の誕生や惑星の名称うんぬんよりもまず、天文がどういったイメージの文化であるのかを一目で知ってもらうことを念頭においた方がわかりやすく、結果的に親しみが生まれやすいのかもしれません。

まとめ

  • 天文はプラネタリウムを始め存在自体はそこそこ知られているものの、まだまだ謎が多く「未知」の塊のような文化である
  • そうした未知なものを相手に伝えるためには、親近感とわかりやすいイメージ(インパクト)をもってもらうことが何より大事

エンターテインメントの観点から見た場合、天文ほど魅力を伝えることに工夫が求められる文化もそうそうないのではないかとも感じます。ときには豊富なボキャブラリーや資料などをもってしても、理解が及ばない部分もちらほら出てくるかもしれません。

ですが裏を返せば、そうした未知とされるものの魅力が相手に伝わった、共有できたときのうれしさは格別なものがあるはずです。それこそ天文風に言わせれば、宇宙が広がる瞬間なのでしょうね。

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Niki Niki
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