文化祭と車イス。視点が低くなることで初めて見えてくるもの

突然ですが、あなたはこれまでに車イスを利用した経験はおありでしょうか?
車イスは大きな病気やケガなどをしないうちは使う機会はそうないと思いますが、それでも実際に利用する人は少なからずおられますよね。

今回はそうした車イスが、エンターテインメントに与える影響について述べていきたいと思います。少しばかりテーマが特殊ですが、あまりかたくならずにご覧ください。

車イスから見た景色と世界

そもそもなぜ今回車イスを題材に取り上げたのかというと、車イスに身近な形でふれることで客観的な視点や他者への配慮、いわゆる「思いやり」の意識を強く感じるようになったためです。

車イスに対するイメージ


車イスと聞くと、おそらく一般的にはあまりブラスなイメージは持たれにくいのではないかと思われます。

車イスを利用していると、何気ない動作や小回り一つとっても苦労しますが、何より目線(視点)が低くなってしまうことに対して、抵抗や恐怖を抱く人は多いとされます。実際に激しい人混みの中を車イスで行き来するだけでも、結構な勇気や度胸が必要になってくるはずです。

ですが、幸いにもこの国(日本)は、車イスやその利用者への配慮や設備が比較的充実している方なので、それほど気負いをせずに利用できるのだと思います。電車やエレベーターの乗り降りでも扉がゆっくり開閉するなど、親切な動きが時折見られますよね。

また、車イスを利用する人はやはり「たくましい」です。状況にもよりますが、行動や日常生活におけるハンデをものともしない前向きな姿勢を見ていると、筆者も何だか自然と励まされるような気持ちになります。
言い換えれば、それだけ車イスから学ぶべきことは多いということなのかもしれません。

車イスに乗ったからこそわかること

筆者はとある文化祭で車イスの試乗体験をしたことがありますが、体験してみてわかったことは、やはり慣れないうちは進路を変えたり小さな段差を越えたりするだけでも、想像以上に苦労をしてしまうということでした。

そして、基本的に常時座り姿勢なので、必然的に視線も低くなりがちで、場合によっては何かを見たり手に取ったりしようとするだけでもかなりむずかしくなると思います。

車イスに試乗するまではこれほど苦労が積み重なるとは思わなかったため、その点では非常に有意義な体験だったと今でも思います。こうなると、やはり何か自分たちにもできることはないものかと自然と考えたくなるのでしょうね…。

車イスとエンターテインメント

じつは文化祭では、車イスを主体とした環境・支援的な企画をしばしば見かけることがあります。

文化祭と車イス、ときどきボッチャ


その一環として、前述のような車イスの試乗体験などができたりするのですが、学校によっては「ボッチャ」と呼ばれるスポーツがお披露目されることがあります。初めて聞いたよという人は、せっかくなのでこの機会にぜひ覚えてもらえるとうれしいです。

ボッチャとは、ストーンの代わりに手のひらサイズのボールを使ったカーリングのようなもので、座ったままでも手と腕さえ動かせれば誰でも気軽に楽しめます。ルールも簡単でケガの心配も皆無という、この上なく取っ付きやすくてすばらしいスポーツです!

もちろん車イスを利用している人や子どもでも気兼ねなく参加できるので、シンプルながらも大いに盛り上がることもあります。ちなみに筆者は実際の文化祭で、ボッチャに思いのほか熱中してしまいました(笑)。

仮に筆者がケガなどで車イスを利用するようなことになったとしても、こうしたものを一つでも知っていると、世界がいい意味で全然違って見えてくるのだろうと痛感します。

エンターテインメントの観点から、車イスの利用者にしてあげられること

文化祭のようなエンターテインメントの分野では、人を楽しませるためにさまざまな工夫を凝らすことも確かに大事なことです。

ただし、同時にそれを心から味わい共有するためには、不快感や不公平感が生じるような要素は極力省いていかなければいけないとも感じます。その意味でも、車イスならびにその利用者を第一に考えることは極めて有効的と言えるはずです。

できることならこうした苦労や障害を少しでも取り除いていきたいものですが、バリアフリーを始めとした配慮がいろいろできる(そうした取り組みがうかがえる)ところは、それだけ好印象につながるものだと思います。

では、具体的にはどういったアイディアが求められるのでしょうか?
筆者なりにいろいろと考案してみると
  • 展示物やテーブルの高さを低くしてみる(車イスの利用者や子どもの目線に合わせる) 
  • 車イス専用の広めの通路を設ける(ドアなどはなるべく開放しておく)
  • 人員に余裕があれば、車イスを押しながら目的地に誘導してあげる

特に一番目に関しては、車イスの利用者だけでなく、子どもへの配慮にもそのままつながるので一石二鳥になるものかと思っています。
車イスから見た視点は地上から約1メートルと、ちょうど一般的な小学校低学年の子どもの背丈と同じくらいの目線なので、参考や比較の対象としてもとてもわかりやすいですよね。

完全とはいかないまでも、こうしたアイディアを少しずつでも積極的に出して反映していくことは、エンターテインメントの分野では欠かせないものになってくるはずです。思いやりなくして、本当の楽しさは生まれないのかもしれません。

まとめ

今回は代表的な例として車イスを取り上げましたが、車イス以外にもこうした苦労を抱える立場の人は決して少なくはありません。
たとえ見ている景色は同じものでも、その受け取り方は(物理的な意味でも)千差万別であることは、エンターテインメントの場に限らず知っておかなければいけないのでしょうね。

もしも筆者が仮に、文化祭あるいはそれに該当するようなイベントなどを運営するとしたら、楽しさ以上に思いやりを優先した「やさしい」形のものにしたいですね。

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Niki Niki
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